英語教師にまつわる思い出について

思い返せば今までに随分沢山の英語教師に出会ってきた。英単語や、英文法は時間が経てば忘れてしまうが、一度印象に残った教師というのはなかなか忘れることが出来ないものだ。
高校生の頃、親に頼んで英会話学校へ通わせてもらったことがある。
そこには様々なタイプの教師がいたが、僕が一番覚えているのはクリスという名の教師である。英会話の教師というと、大抵は部屋に入ってくるなりハイテンションで「ハーイ」だの「ハロウ」だのという感じの人物が多いのだが、クリスはどちらかというと静かな空気感を持っていた。クリスは確かカナダ出身の男性で、身長が2メートル以上あり、顔は老けているのだが実際の歳はなかなか若い(僕の記憶では、彼は30歳手前だった筈だが実際は40代に見えた)優しい巨人といった感じの人物だった。
彼は気さくだがどちらかというとあまり騒がしいのは好まない様子で、少し冷めた独特のスタンスを取っていた。
僕は喋るのが下手だから、英会話でのコミュニケーションというのは得意ではない。というかむしろ日本語での会話だって苦手である。だから場合によっては、会話の流れについて行けなくて落ち込むことも少なくない。
ある日彼は授業の終りに何気なく僕に言った。
「気にすることはない。君は良い耳を持っている。僕だってネイティブだけどそんなに喋る訳じゃない」と。
実際の英語での言い回しは思い出せないが、その時の言葉というのは不思議と頭の中に残っている。